初音 (源氏物語) (Hatsune (The Tale of Genji))

「初音」(はつね)は、『源氏物語』五十四帖の巻名のひとつ。
第23帖。
巻名は明石の御方が明石の姫君に送った和歌「年月を松にひかれて経る人に今日鴬の初音聞かせよ」に因む。

江戸時代の教養人の子女は『源氏物語』を初音(はつね)から学んでいった。
三代将軍徳川家光の長女千代姫(当時数え三歳)の婚礼調度の一つ、国宝「徳川美術館徳川光友夫人千代姫所用の婚礼調度」は、初音の巻に取材したものである。

あらすじ
光源氏36歳の新春の話。

新春を迎えた六条院は、この世の極楽浄土の如くうららかで素晴らしかった。
源氏は春の町で紫の上と歌を詠み交わし、新年を寿いだ。
紫の上の下で育てられている明石の姫君に生母明石の御方から贈り物と和歌が届いた。
源氏は娘との対面も叶わぬ御方を哀れに思う。
夕暮れ時、源氏は贈った晴れ着を纏う女君たちの様子を見に花散里と玉鬘 (源氏物語)、さらに明石の御方を尋ねた。
その夜は明石の御方の下に泊まった。

二日は臨時客の儀に大勢の公達が訪れ、特に若者たちは噂の玉鬘に皆気もそぞろだった。
その後源氏は二条東院の末摘花 (源氏物語)や空蝉 (源氏物語)を訪問、女君たちの身の回りに気を配った。
また今年は踏歌節会があり、玉鬘も紫の上や明石の姫君と共にそれを見物した。

[English Translation]